9/2

帰りにタワーレコードに寄ってCDを買った。ラッパとピアノと歌。心に沁みるとは少し違うけれど、心臓がグッと1センチ上に上がる感じで、気持ちが良くて、いつも一駅とばして歩くところを二駅次の駅までゆっくり歩いた。

悲しいことだけれどあれだけ好きだったズントコ節は聴けば聴くほど心が離れていくのがわかる。最高にロマンチストぶると、大音量で床が揺れたり、大勢の踊る人で空気が揺れたり、多量のアルコールで目の前が揺れたりよりも、今は歌で心が少し震えるくらいのヴァイヴがちょうどいいです。穏やかに内側で熱唱したい。合掌。

07/30〜8/17

7月の終わりに娘が生まれた。
予定日より一週遅れたものの、俺も嫁も嫁の家族も産婦人科も、おそらく生まれてきた本人も、驚くほどあっという間にお腹の中から出てきた。俺は自宅で夜中に陣痛が始まったとメールを受けて、頑張れと返した以外は何もしてやれなかったけれど、初産もへったくれもない、記録的なスピードで出てきた。2800グラム。小さな女の子だけれど、海と波にまつわる名前をあげた。泣いても泣かなくても心配で、寝ていれば息をしているか心配で胸に手をあて呼吸を確かめ、起きていれば寝つきが悪いといって子守唄を歌う。多分世界で今のところ一番可愛いんじゃないか。

嫁も娘も実家にいるので、俺は相変わらず一人暮らし。家族が一人増えたとはいえ、結果的には寂しい夜が増えたよ、まったく。

08/18

終電まで時間があったので一時期よく通った神山町にあるバーに行ったら違う店に変わっていた。円山町にあった居酒屋がなくなってから、渋谷でひとつだけのお気に入りの店だったのに、何もなかったように消えていた。あんなに馴れ馴れしかった常連はどこへ行ったんだろう。円山町の店で知り合った奴らとも店がなくなってからはまったく連絡を取らなくなった。どの店で出会った奴らも、たいしてお互いのことも知りもしないのに言いたいことを言い、笑い、怒り、愛し、同情し、金や仕事やセックスがアルコールで混ぜこぜになっていた。気張らず一人で一杯飲めて、気が向いたときに誰かに声をかけられる、そういう店は渋谷になかなかないし、あっても最近は探すのが正直億劫になってきている。結局今日は別のバーで一杯だけ飲んだだけど、イケイケなハウスが鳴るどうでもいい店だった。最近はズンドコ節が目に沁みて心が沈む。

2/16

久しぶりの休日。早起き。戌の日ということで、水天宮で安産祈願。昼、人形町の定食屋でカツ丼、飯後に人形焼。午後、東京マラソンのエキスポに顔を出して、夕方帰宅。自宅でピザを取って、バレンタイデーにもらったワインを一本。東京は今更寒く、実家がある日本海側も大雪らしい。嫁さんが妊娠したこともあって年が開けてまだ一度も雪山へ遊びにいっていない。仕事が忙しいのもある。休みがなかったわけではないけれど、年明けからほぼ働きっぱなしで、今日は緊張からほぐれたのか、噴出した疲労で体がだるく、頭がぼうっとしていて、なんでもないところで何度もつまづいた。せっかくの休日だからと、買いだめ状態になっていた大量の読物やアートや音楽をいっぺんにインプットしようとしたんだけれど、刺激されるどころか頭に入ってこない、感じない、垂れ流しの一日。今日みたいな日をレイジーデイっていうんだろうな。

明日は仕事、明後日から大阪。俺が成長するスピードはまったく無視で、仕事は加速して大きく多く重くなる日々。悩んでも落ち込むな。無駄な贅肉は落とせ。頑張れ俺。それと、元気な子供が生まれますように。以上、戌の日の日記。have a good day!

12/12

3日ほど仕事で北陸をまわった。福井の勝山、石川の能登、金沢、小松。今回は事情で車ではなく電車でラウンドしたのだけれど、出発の日に寝坊したためにI-podも小説も仕事用のモバイルPCも持ってくるのを忘れてしまい、移動中はひたすら列車の窓から寒々しい北陸の田舎を眺めてぼうっとしていた。久しぶりにゆっくりといろんなことを考える時間があったのに、ただひたすら脱力していた。昨日の蟹はうまかったなあとか、本当どうしようもなく緩んで、結局そのまま東京に帰ってきてしまった。今年もあと少し。明日は冷たい水で顔を洗おう。久しぶりの日記だ。また、よろしくお願いします。

浅漬け、一夜干し

今月最後の休み。本当はもっとさわやかな朝がよかったのだけれど、ゆうべの深酒がたたって頭痛と胸焼けのあわせ技でくらくらしていた。いつぶりの二日酔いだろう。タクシーの領収書。携帯の着信履歴。緊張感がなかったわけではないけれど、どこかで緩んで調子にのって、楽しくて優しい気持ちにになって、最後どこかでつぶれてしまったんだと思う。いずれにしても今朝起きたときはゆうべのことがまったく思い出せなかった。もう少しさわやかに目が覚めたらそれはそれで素敵な土曜だったと思うけれど、これはこれで泥のような朝だけれど、悪くないなと感じた。何が悪くないのかは自分でもさっぱりだけれど。今日は休みなんだと感じられた。

昼、近所でパスタ。部屋で映画を二本。夜、自由が丘の洒落た居酒屋で晩酌。帰宅してもう一杯。最近引っ越したのだけれど、ベランダが広く、のんびりと煙草が吸えるので結構気にいっている。決して美しい景色ではないけれど、大きな鉄塔が地平線に向かって立ち並んでいて、かなり遠くの空まで見える。俺は見たことがないけれど、夕暮れ時にオレンジに染まることがあってそれが一番きれいだと嫁が言っていた。

なんでもそうだけれど、適当なところで納得して満足して幸せなふりをすることが最近多くて、特に休みの日がそうで、悪くないってのを念仏みたいに唱えることがある。このまえ田舎から父親が仕事で上京してきたときに、なにをそんなに悩む必要があるんだと言われたけれど、何も答えられなかった。悩んでいるふり、考えているふりなのか自分でもよくわからないけれど。実はここのところ、まったくのノーアイディアで本当にからっぽで、どうしようかと。ノーアイディアー。