昨夜

知らない女とセックスをする夢を見た。
歯を磨いているとき、夢に出てきた女のことを考えた。尻と足だけだったような気もする。上半身は別の女だったかもしれない。昨日見た夢なのかいつか見た夢なのか本当に寝た女なのか、思い出そうとすればするほど、昨日夢はわけのわからないものになっていった。だいたいセックスの夢だったのかどうかもあやしい。
朝飯の片付けをするときに、そういえば昨日もベーコンを食べたなと思い、その直後に夢で見た女の尻と足を思い出した。皿を落としてしまいマヨネーズの残りが上着についた。やっぱり尻と足だけの女だったのかも。
尻と足だけの女だなんて機会があっても絶対寝たくないなと食後に一服しながら考えた。尻と足だけの女の使い道や人生やその恋人の尻と足だけの男や、尻と足だけの女に顔があったら、ぼんやりといろんなことを想像した。ひょっとしたら優しい女なのかもしれない、機会があれば一度くらい。煙草を吸い終わって職場に向かう途中、疲れているのかなと、三度、溜息が出た。
昼飯の匂いがする。めったに見ない夢とめったに見ないセックスの夢。いや、あれはセックスの夢じゃない。尻と足だけの女の夢だ。昼飯の匂いがする。一日中尻と足の女のことを考えるつもりなのか。俺は。

一時だ。ピザでも食うか。