飯山満という街を歩く。腹がへってしかたないが時間がない。俺は歩くしかない。スーツが重い。たいして暑くもないのに早歩きのせいで汗が噴きだしてとまらない。しかし、この飯山満。飯山満と書いてハサマ。飯屋が一軒もないのだ。飯の山が満たされて。ハサマじゃないのか。苛苛はつのるばかりである。

歩いていると胸の中から言葉が噴きだしてくる。いいリズムだ。なのにパソコンの前に座ると途端に何もかけなくなる。自分は物書きでもなんでもないのだけれど、前は言葉がバツバツとふきでてきた。誰にも伝わらない自分だけのものだったのかもしれないけれど、確かに胸の中から出てくる言葉にはリズムがあって、それを書き出すのが最高に気持ちよかったことがある。文章は面白くないしうまくも役にもなんにもたたないくだらないものばかりで楽しくもなんともなかったが、書くことは気持ちがよかった。