12/6 サラデイ

朝、コーヒー。昼、コーヒー。夕、中央通りの『BAG&CAFE』でコーヒー。マッキントッシュ(アップルのパソコンではなくて)のアンプが青白く光っていた。まだこの店ができたばかりのころ、気に入っていた女の子を誘って行った映画の帰りにこの店に寄って、コーヒーを飲んだ。そのとき初めてマッキントッシュの青白く光るアンプをみて興奮してベラベラ喋ったのを覚えている。その後どうなったのかは忘れた。誰と一緒に行ったのかさえ忘れた。肝心なことはほとんど思い出せない。コーヒーはあの時も今日もうまかった。

何かもうひとつふたつくらい好きなとっておきの喫茶店があったような気がするが、どんなに歩いても思い出せなかった。毎週末ラグビーの練習が終わったらすぐにバスに乗って街に行き、現像屋で三時間ほどアルバイトして、終わったらぶらっと通りの中へ入り、右へ曲がって、余裕があるときは角でたいやきを買って、レコ屋によって、5分ほど歩いたらあの店があった。その五分ほどが思い出せない。5分どこへ歩いたらいいのかさっぱりだった。ひょっとしたら全然違う街の話なのかもしれない。

夜、アルバイト仲間(といっても皆、元社長だとか元銀行員だとか元オモチャの営業だとか自分より一回り二回り年上のオッサンばかりなんだけれど)と呑み会。富山の名産を食わせろと言うので、適当な居酒屋に連れて行って、ほどほどに新鮮な鰤や白えびの刺身を食わせた。感激し酒が進み饒舌になった彼らは赤らめ走り出し、アルバイト仲間だったはずの彼らは社長に戻り、銀行員に戻り、おもちゃの営業に戻った。俺は彼らの人生経験や息子や愛人やら“駄目な社会”と“駄目な俺たち”の話を延々と聞かされ、酒を流し込まれ、目が覚めたらソファで美人のお姉ちゃんの腿の上に俺の頭があって、その後また酒を何杯か呑んだ。まだ夜は残っていたが、疲れと酔いと何回かの嘔吐で気分が悪く、「ウンコがしたいから帰る」といって俺は帰ったそうだ。ホテルまで美人の姉ちゃんが一緒に歩いてくれたそうだ。ロビーでライターと車のキーを渡されたのは覚えている。車のキーが俺のものじゃなかったこと、俺が本当にほしかったのはホテルのキー、それと四階にある俺の部屋までたどりつくための体力と意識。結局駐車場に停めてあった俺の車での中でカーステをガンガン鳴らして寝た。もちろん夜はTOMWAITSに決まっている。これでも飲酒運転になるのかと心配しながら寝たのは覚えている。俺にしては随分男前な潰れかたじゃないか。クハハ。俺は笑える。