3/13

早起きした。朝、新幹線に乗って『ドミトリー』へ。俺の真後ろの席では女子大生らしき集団がカードゲームで大宴会。えー、私貧民?富豪?、ワー、キャー、キャイーン。犬じゃないんだから、でも楽しそうだった。熱気か。俺のシートだけ揺れているように感じる。眠れず文庫を開いたけれど一行目か二行目あたりを読んで面倒くさくなった。ワー、キャー、後ろの女の子たちの誰かが革命を起こして大貧民の子が叫んだ。ヤッシ!革命が起きても彼女はきっと大貧民のままじゃないかと思った。トランプは喋らない奴が“負けない”。勝てるかといえばそれはわからない。少なくとも彼女は喋りすぎだ。背をむけていても声だけで誰がルーザーなのかわかる。ちなみに俺はトランプで大勝した覚えがない。喋りすぎるからだと思う。ウノは得意だ。みんなが決まった言葉を喋らなければならないからなのかもしれない。

夜まで仕事。帰りに近場のカフェバー(みたいなところ)へ。土曜日だからか、人がたくさんいた。知った顔もいた。ブレイクビーツっぽい曲が大きな音で流れていて、フロアで踊っている連中はかなり酔っぱらっていた。合コンしてるやつらもいた。ひょっとして一つの集まりなの?と酒を作る係に訊いたら、そうみたいっすねーと苦笑いなのかなんなのかよくわからない顔をして笑った。と、そこまで俺は静かに、なんだか今日は賑やかだねとさわやかにすかして微笑んでいたのだけれど(でた。またすかしだ。)、何がどうなったのか、23時をすぎた頃には女子大生と外人と酒を作る係りの男の子と顔黒君たちとどんちゃん騒ぎを起こしていた。油断した。鬼とか天狗がひょうたんみたいな入れ物に入った酒を煽る感じで(無茶な例えだ)テキーラを飲んでしまった。店を出る頃には彼らや彼女たちの名前がどれがどいつのものなのかよくわからなくなっていた。帰りに、スウェーデン人の名前がオーケーでノルウェー人の名前がヤンで二人は新橋で働いているんだよと、脇腹が少し余った英語を勉強したがっている女子大生が忘れちゃだめだよ絶対だよと念を押して教えてくれたのでそれははっきりと覚えている。でも彼女の名前は忘れた。余った脇腹がチャーミングだった。きっと彼女も俺のことは忘れてしまう、オーケーさんも、ヤンさんも、みんな。みんな忘れちまうんだー、うん、バタン、みたいな感じで寝たんじゃないでしょうか。布団が柔らかすぎて気持ち悪かったので床で寝たような気がする。ルームメイトが布団をかけてくれたみたいだ。ひどい夜だった。