「なあ、このなかで俺とセックスしたいやつは誰だ。手を挙げたらどうだ。レイディース、アンド、ジェントルマン。押さないでくれ、順番は守る、約束も守る。一度きりじゃない。なあ、このなかで俺とセックスしたいやつは誰だ。」

誰が誰でどいつが俺だったのか、気持ちの悪い夢だった。叫んだ言葉はよかった。目が覚めて、今何時かと携帯電話を取ったら電池が切れていた。小便をして歯を磨いて、煙草を吸おうとしたらフィルターに火をつけてしまった。窓が半分開いていて網戸に湿った雪があたってサッシがびしょ濡れになっていた。肌寒い。何か聴きたかったけれど、何もない。顎が外れるかと思うくらい大きな欠伸をしたら、アメリカにいる俺や俺たちの何匹かの犬の欠伸したときの顔を思い出した。ドゥービー、ブレッツ、ショプタイ、ラッキー、ハンバーガー。向かいのおばさんが飼っていた犬の餌みたいな犬。間違って火をつけたフィルターをちぎり捨て、もう一度火をつけたらあんまりうまくなかった。ハハッ。ペッ。